2016年10月17日月曜日

オーマンディ&フィラデルフィア管のシベリウス:交響詩《4つの伝説曲》(1978年録音)

ハンガリー出身者の指揮者
ユージン・オーマンディ
(Eugene Ormandy, 1899年11月-1985年3月)の指揮する

アメリカのオーケストラ
フィラデルフィア管弦楽団の演奏で、

フィンランドの作曲家
ジャン・シベリウス
(Jean Sibelius, 1865年12月8日-1957年9月20日)の
交響詩《4つの伝説曲》作品22を聴きました。

指揮者78歳の時(1978年2月)の録音です


ジャン・シベリウス
交響詩《4つの伝説曲》作品22
①第1曲:レンミンカイネンと鳥の乙女
②第2曲:トゥオネラの白鳥
③第3曲:トゥオネラのレンミンカイネン
④第4曲:レンミンカイネンの帰郷

ルイス・ローゼンプラット(コーラングレ)
フィラデルフィア管弦楽団
ユージン・オーマンディ(指揮)

録音:1978年2月20日、フィラデルフィア、The Old Met
【WPCS-50841】2013年1月発売

交響詩《4つの伝説曲》作品22 は、
《レンミンカイネン、オーケストラのための4つの伝説》という正式名称で、
《4つのカレワラ伝説》《レンミンカイネン組曲》と呼ばれることもあります。

1893年から95年にかけて作曲され、
シベリウス30歳の時(1896年4月13日)に初演されました。

初演順に前後の作品を並べてみると、

 ①《クレルヴォ》作品7(初演1892年)
 ②《4つの伝説曲》作品22(初演1896年)
 ③ 交響曲第1番 ホ短調 作品39(初演1899年)

となっていて《クレルヴォ》と第1交響曲の
あいだに位置する作品ということになります。

《クレルヴォ》と第1交響曲との間に、
4楽章編成の交響曲風の大規模な管弦楽曲が作られていたことは、
つい最近まで気が付きませんでした。


松原千振(まつばらちふる)著
『ジャン・シベリウス ―交響曲でたどる生涯』
(アルテスパブリッシング、2013年7月)
を読んだ時に、

 第2章《クレルッヴォ》 
 第3章《レンミンカイネン組曲》
 第4章 交響曲第一番 

と章立てされているのをみて、
聴いてみたいなと思っていました。

このうち第2楽章《トゥオネラの白鳥》は、
度々聴く機会があって、美しく繊細な作品であることは良くわかっていたのですが、
4楽章の交響曲として聴けるのかは疑問でした。


  ***

実際に聴いてみて驚きました。

交響曲第2番のようなわかりやすい構成の音楽で、
レンミンカイネンの伝説について何も知らなくても、
最後まで感動のうちに聴き終えることができました。

確かに、
ワーグナーの《ワルキューレ》にそっくりな楽想が表れたりして、
安易なところに流れる傾向もあるので、
交響曲と呼ぶのは早いように思われますが、

一つ前の《クレルヴォ》よりは、一歩わかりやすく、
まとまりのよい4楽章構成の作品に仕上がっているように感じました。

《クレルヴォ》や交響曲第2番のような、
わかりやすいロマン的なシベリウスの作品が好きな方には、
《レンミンカイネン、オーケストラのための4つの伝説》
はお薦めの作品です。

他にも良い録音はあるかもしれませんが、

偶然聴いたオーマンディは、曲への共感に満ちた名演で、
これだけで十分この曲の魅力に気がつくことができました。

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