2012年10月1日月曜日

ヤンドーのハイドン:ピアノ・ソナタ全集 その1

ハンガリーのピアニスト
イエネ・ヤンドー(1952 - )さんの
ハイドン:ピアノ・ソナタ全集、

1枚目は、
ウィーン原典版の通し番号で、
第1番から第10番までを聴きました。


フランツ・ヨセフ・ハイドン(1732 - 1809)
 ピアノ・ソナタ 第1番 ト長調  Hob.XVI-8
 ピアノ・ソナタ 第2番 ハ長調  Hob.XVI-7
 ピアノ・ソナタ 第3番 ヘ長調  Hob.XVI-9
 ピアノ・ソナタ 第4番 ト長調  Hob.XVI-G1
 ピアノ・ソナタ 第5番 ト長調  Hob.XVI-11
 ピアノ・ソナタ 第6番 ハ長調  Hob.XVI-10
 ピアノ・ソナタ 第7番 ニ長調  Hob.XVII-D1
 ピアノ・ソナタ 第8番 イ長調  Hob.XVI-5
 ピアノ・ソナタ 第9番 ニ長調  Hob.XVI-4
 ピアノ・ソナタ 第10番 ハ長調  Hob.XVI-1

イエネ・ヤンドー(ピアノ)
録音:1996年2月、ブダベスト、ユニテリアン教会
【Naxos 8.553824】

ウィーン原典版の通し番号を、
ホーボーケン番号で並べなおすと、
 Hob.XVI-1(第10番)
  *
 Hob.XVI-4(第9番)
 Hob.XVI-5(第8番)
  *
 Hob.XVI-7(第2番)
 Hob.XVI-8(第1番)
 Hob.XVI-9(第3番)
 Hob.XVI-10(第6番)
 Hob.XVI-11(第5番)
  *
 Hob.XVI-G1(第4番)
 Hob.XVII-D1(第7番)
となります。

途中で抜けているのは、
 Hob.XVI-2(第11番)
 Hob.XVI-3(第14番)
 Hob.XVI-6(第13番)
の3曲です。(次のCDに収録。)

ほかと異なる番号の2曲、
 Hob.XVI-G1(第4番)
 Hob.XVII-D1(第7番)
は、真作である裏づけの取れない作品で、
特に〈D1〉は偽作とする研究があるそうです。

ただし実際に聴いてみて、
ほかと明らかな違いがあるわけではなく、
とくに〈G1〉は良くまとまった佳曲だと思います。


   ***

今回、ハイドンの初期のソナタを聴いてみて、

思い浮かんだのは、
毒気を抜いたスカルラッティ。

1楽章完結というわけではありませんが、

簡潔な構成の中で、
前向きで明るく楽しいメロディが次々と展開していき、
思っていた以上に楽しむことができました。


ヤンドーさんのピアノは、もったいぶらずに
どんどん曲の本質に切り込んでくるところが好ましく、
ハイドンにぴったりだと思いました。

これなら眠くなる暇がありません。


ハイドンの音楽には予定調和なところがあるので、
若いころは、今ひとつ良さがわからなかったのですが、

四十を過ぎ、辛いこと、苦しいこと、
悲しいことがたくさん起こる世の中で、

心に平穏をもたらし、
明るく暖かなものとする、
音楽の大切さに気がつくようになると、

ハイドンの音楽が身に染むようになって来ました。

日々こんなに明るく楽しく、透明な心であれたらいいな、と。


※なお、
 第4番(Hob.XVI- G1)の第3楽章は、
 第5番(Hob.XVI- 11)の第1楽章と同じ曲なので、

CDを聴いていると、突然
同じ楽章がリピートされることになり、
若干戸惑います。

おおむね同じ時期に作曲されたと考えて、
このように並べたのかもしれませんが、

同じ楽章を含む別個のソナタを、
同時に作曲したとも考えにくいので、

コンサートなどで全曲を取り上げる場合に、
頭を悩ますだろうな、と思いました。

今回聴いた印象では、
第4番の方が完成度が高く、
第5番は今ひとつな感じがしました。

(ただし、真作の確証があるのは第5番の方だそうです。)

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