2011年10月17日月曜日

広上淳一&京都市響のベートーヴェン:交響曲第4番など

広上さんの新譜、やっと手に入れました。
期待以上の出来で、とても満足しました。


広上淳一指揮 京都市交響楽団定期演奏会
名曲ライブシリーズ

CD-1
チャイコフスキー:
イタリア奇想曲 op.45

プロコフィエフ:
ヴァイオリン協奏曲 第2番 ト短調 op.63
 ※黒川侑(ヴァイオリン)

ラフマニノフ:
パガニーニの主題による狂詩曲 op.43
 ※河村尚子(ピアノ)

 ※以上、第527回定期演奏会、ライブ収録
 (京都コンサートホール、2009年8月9日)


CD-2
ベートーヴェン:
交響曲 第4番 変ロ長調 op.60

 ※第533回定期演奏会、ライブ収録
 (京都コンサートホール、2010年3月27日)

シューマン
交響曲 第3番 変ホ長調「ライン」op.97

 ※第535回定期演奏会、ライブ収録
 (京都コンサートホール、2010年5月21日)

【KSOL-1001/2】



広上淳一さんは、
私が大学生のころに指揮者としてスタートされて、
日本フィル、ノールショッピング交響楽団などでの
ご活躍を目の当たりにして来ました。

これからという時期にしばらく休養もされて、
どうなるかなあ、と思っていたところ、

アメリカのコロンバス交響楽団の音楽監督に就任されて、
いよいよ復活か、と思っていたのですが、
数年で離任することになりました。

しかしコロンバス響を離任する少し前に
常任指揮者への就任が決まった京都市交響楽団と
よい関係が築けているようです。

今回発売されたCDは、たいへん充実した内容となっております。


録音もたいへんすばらしく、
ムントさんと録音で聴いていたときの京響の響きとはまるで違っていて、
オケの洗練された、美しい響きがそのまま伝えられているのが嬉しいです。

広上さんのCDは、
なかなかライブの熱気をそのまま伝えているものが少なかったので、
たいへんありがたいです。

収録された作品のうち、
ずばぬけて良いのは、チャイコフスキーとラフマニノフです。

イタリア奇想曲のほうは、
そもそも録音があまりないのですが、
楽しい佳曲で、広上さんの魅力満載です。

河村さんのピアノはセンスのかたまりで、
広上さんとよいコンビだと思いました。

これまでそんなに好きな曲ではなかったのですが、
広上さんのふるオケともども、
ひらめきに満ちたリズムと、
叙情的な歌にあふれていて、
稀に聴く名演となりました。

今後、パガニーニ狂詩曲といえば、
この演奏を選ぶことが多くなりそうです。

プロコフィエフは、
ライブでこれだけ聴かせてくれれば
大成功といったよいレベルです。


交響曲は、ベートーヴェンの第4番に驚きました。

とくに作為的なことはしていないはずなのですが、
所々この曲こんな響きがしていたっけ、と思わせられる、
ベートーヴェンのオーケストレーションの斬新さが伝わってくる演奏でした。

それでいて大元のベートーヴェンを聴く楽しさ、
感動も十分に伝わってきて、私にとっての大収穫でした。

広上さんのベートーヴェンは、
今後注目していきたいです。


シューマンは
ベートーヴェンと同じような切り口で、
十分成功といってよい演奏だと思いますが、

わたしにはほんの少し、
曲が停滞するようにも聴こえました。

前へ前へと進んでいく推進力といったものが加味されると、
シューマンも鬼に金棒だと思いました。


やはりこれだけ新鮮な響きを、
ひらめく瞬間を多く聴かせてくれる指揮者は他にいないので、
今後も充実したお仕事を続けていただきたいです。


なお、
CDには「名曲ライブシリーズ」とあるので、
ぜひ第2弾、第3弾と続けていただきたいです。

それだけの価値ある演奏をくり広げていると思います。

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