2011年10月25日火曜日

プリンツのブラームス:クラリネット・ソナタ集

先日、ブラームスのヴィオラ・ソナタ集を紹介しました。

その後、同じ曲をクラリネットで演奏した
クラリネット・ソナタ集の名演を探していましたが
とても満足のいく1枚を見つけました。

ブラームス : クラリネット・ソナタ集

ブラームス
クラリネット・ソナタ 第1番 ヘ短調 Op.120-1
クラリネット・ソナタ 第2番 変ホ長調 Op.120-2

アルフレート・プリンツ(クラリネット)
Alfred Prinz, clarinet
マリア・プリンツ(ピアノ)
Maria Prinz, piano

録音:1988年4月1・2日
場所:松本市、ザ・ハーモニーホール
【FOCD-2533】


モーツァルトとブラームスの
クラリネット五重奏曲ですばらしい演奏をされていた
プリンツさんならどうだろう、
と思って探してみると、

フォンテックから、
ご夫妻で録音されたCDが出ていることに気がつき、
早速手に入れて聴いてみました。

これがブラームス特有の
愁いを感じさせる味わい深い演奏で、
とても感動しました。

夫婦での演奏というのは、
時に詰めが甘くなってしまいがちですが、
初めて聴くマリアさんのピアノも
十分に実力のある方のようで、
アルフレートさんとぴったり息のあった、
絶妙なアンサンブルを聴かせてくれます。

技術的な点だけをいえば、
カール・ライスターさんの演奏も
文句をつけようのないものだったのですが、

バリバリとこれでもかと力で押すスタイルが、
私には今ひとつに感じられました。


プリンツさんの演奏も、
モーツァルトとブラームスの五重奏曲のときと同じように、
これみよがしなところはなく、

わりとさらりと流れがちでもあるのですが、

少し耳をそばだたせると、
しみじみとしたブラームスの枯れた味わいが伝わってくる優れた演奏です。


惜しむらくは、
日本でこのCDを録音するに至った背景などを、
ライナーノートに何かしら記しておいてほしかったのですが、

そうした表記が何もないのは不親切だと思いました。
一見、プライベート盤のようです。

もしかしたら、
プリンツさん側からの申し出で、
あまり予算がないなかで録音されたのかしら。


ただし外見とは関係なく、
その内容は、まれに聴くレベルの高い演奏といってよいと思います。

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