2012年5月3日木曜日

広上淳一指揮&日本フィルの伊福部昭の芸術(1995)その1


伊福部昭の芸術1
譚― 伊福部昭 初期管弦楽
1) 日本狂詩曲(1935)
2) 土俗的三連画(1937)
3) 交響譚詩(1943)

広上淳一指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
録音:1995年8月22-24日、29-31日、9月1日
東京、セシオン杉並ホール
【KICC175】

昔の記憶では、
セッション録音で
伊福部氏の作品を聴いたのが初めてだったからか、
若干、違和感を感じていたはずなのですが、

今回聴きなおしてみると、
広上淳一氏と日本フィルのコンビが、
予想以上によい仕事をしていたことに気がつきました。


楽譜の音がよいバランスで
すべて聴こえて来る心地よさはもちろんですが、

セッション録音としては
めったにないレベルの「熱さ」も感じられ、
これらの曲の模範的演奏といってよい出来だと思います。


1曲目の「日本狂詩曲」は、
大正3年(1914)生まれの伊福部さんが、

昭和10年(1935)、21歳のときに完成し、
アメリカで、チェレプニン賞第1位を受賞した
大管弦楽のための作品です。

伊福部さんの出世作です。

叙情あふれる「夜曲」と、リズムが躍動する「祭」の2曲が
よい対照をなしており、実際、魅力的な作品だと思います。


2曲目の「土俗的三連画」は、
昭和12年(1937)、23歳のときに完成した
室内オーケストラのための作品です。

良くまとまっている楽しい作品ですが、
めったにコンサートで取り上げられることはないようです。
斬新でありながらしみじみと胸にしみる名曲です。


3曲目の「交響譚詩」は、
昭和18年(1943)、29歳のときに完成した管弦楽曲です。
前年に亡くなったお兄さんへの追悼曲として作られました。

伊福部さんの作品で、
私が最初に引きこまれたのが、
この「交響譚詩」と「シンフォニア・タプカーラ」です。

今回の録音のように、
細部まで丁寧に、よく聴き取れるように演奏されても、
やはり良く出来た名曲だと思いました。

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