2014年12月5日金曜日

小川京子のモーツァルト:レクイエム(ピアノ独奏版)

オーストリアの作曲家
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756.1-1791.12)の
遺作《レクイエム》ニ長調 K.626 を、

オーストリアの作曲家
カール・チェルニー(1791.2-1857.7)が、
ピアノ独奏用に編曲した版で聴きました。

楽譜はチェルニーが36歳の時(1827)に出版されています。


日本のピアニスト
小川京子(おがわきょうこ)氏による
2012年の録音です。


ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト:
《レクイエム》ニ短調 K.626(ジュースマイヤー版)
カール・チェルニーによるピアノ独奏編曲

小川京子(ピアノ)
録音:2012年3月15日、和光市民文化センター
【WWCC7698】


モーツァルトの《レクイエム》は、

オーストリアの伯爵
フランツ・フォン・ヴァルゼック(1763.1-1827.11)の
依頼によって作曲されたものの、
未完のまま残されたため、

弟子であったオーストリアの作曲家
フランツ・クサーヴァー・ジェスマイアー(1766-1803.9)が補筆完成し、
1793年12月に初演された作品です。

モーツァルトの没後(1791.12)35年をへて、
チェルニーがピアノ独奏用に編曲(1827)した経緯は、
「1820年代半ばに戦わされた〈《レクイエム》真贋論争〉」にあるそうです。

 ※海老澤敏氏のCD解説を参照。


ネット散策をしている時に、
ふと目についたのがピアノ独奏版の《レクイエム》でした。

合唱とオーケストラの作品を、
ピアノ独奏に直すのでは音が少なすぎるのでは、
と思ったのですが、

モーツァルトのピアノ独奏曲は、
もともと無駄な音が削ぎ落とされたシンプルなものなので、
意外に合っているかもしれない、
と思いなおし購入しました。


その結果、
モーツァルトのもともとの独奏曲といってもおかしくない、
優れた編曲に仕上がっていて、

存分に《レクイエム》の世界に浸ることができました。


小川京子氏のピアノは、
演奏効果をねらった外面的なところがなく、

ていねいに曲の本質を掘り下げていくスタイルで、
編曲の真価を十分伝えるものでした。

真面目一辺倒ではあるので、
CDで全体を聴き通すと多少息がつまるようでもありましたが、

世界初録音で、
編曲の内容を正確に伝えるという意味では、
十分な仕事をされたと思います。

ただこれは、
ぜひほかのピアニストでも聴いてみたい曲です。

どなたか取り上げてくれないかな。

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