2011年9月22日木曜日

モラヴェツのブラームス:ピアノ協奏曲第1・2番

ブラームスの2曲のピアノ協奏曲。
どちらも名作ですが、CDで聴き映えする演奏にはなかなか出会いません。
ピアノが重厚に書かれていて技術的に難しいからだけでなく、

オケも単なる伴奏の域を越えて、
彼の交響曲と同じようにしっかり書れていますので、
オケと指揮者にとってもハードルが高く、

すべてにバランスのとれた演奏にはそうそう出会えません。

色々聴いてきた中で、今のところ一番しっくり来ているのが、
モラヴェツさんが、ビエロフラーヴェクさん指揮の
チェコ・フィルと収録したCDです。



ブラームス
Disc-1
ピアノ協奏曲 第1番 ニ短調 作品15
間奏曲 イ長調 作品118の2
Disc-2
ピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調 作品83

イヴァン・モラヴェツ(ピアノ)
Ivan Moravec
イルジー・ビエロフラーヴェク(指揮)
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

録音:1988年(Disc-2)、1989年9・10月(Disc-1)
プラハ、ルドルフィヌム(芸術家の家)
【COCO-70782-3】


2枚一組でお買い得、
と思って購入したCDですが、
内容の充実度にうれしい驚きでした。

ピアノのモラヴェツさん、
1930年生まれのチェコのピアニストです。
このCD1枚では何ともいえませんが、とんでもなく弾ける人です。

第1番も第2番も、
なかなかこれだけ雄弁に語りかける演奏には出会えません。
だからといって力で押しまくるような所はまったくなく、
緩徐楽章のしみじみした情感も十分ですので、
ブラームスにぴったりです。

指揮のビエロフラーヴェクさん、
出てくる音から想像して、職人気質の昔の方かと思っていたのですが、
1946年生まれのチェコの指揮者です。
また65歳ですので、これからの方です。

演奏当時はまだ40代前半ですが、
ブラームス独特の渋味のある響きを十分に実現していて、
すごいなあ、と思っていたら、

この録音を行った翌年1990年から2年間、
ノイマンさんの後を受けて、チェコ・フィルの首席指揮者を務めています。
そして来年から再び、インバルさんの後を受けて、
20年ぶりにチェコ・フィルの首席指揮者に復帰するそうです。

詳しい経緯はわかりませんが、
ノイマンさんの後を継ぎうる人物として注目したいと思います。
今後注目の指揮者です。

演奏は、好き好きですが、

第1番はこの演奏を聴いてから、
ルービンシュタインさんとメータさん指揮、
イスラエル・フィルの演奏はあまり楽しめなくなりました。

ルービンシュタインさんのも名演ですが、
録音が今ひとつ、オケも今ひとつです。

第2番はこの演奏で、はじめて感動できました。

有名なバックハウスさんとベームさん指揮、
ウィーン・フィルの演奏は、録音の加減か、
何度か再販されるたびに買ってみましたが、
ピアノがよく聴き取れないからか、良さがわからないままです。

(ベームさんが指揮する交響曲として聴けばOKかもしれません。)

あまり知られたピアニスト、指揮者ではないので、
すぐに手に入らなくなるかもしれませんが、
これはブラームス:ピアノ協奏曲の良い演奏です。

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